武蔵野市役所環境部緑のまち推進課によると同市は1973(昭和48)年、当時全国でも唯一緑をテーマとする「武蔵野市民緑の憲章」を制定し、「緑は市民の共有財産」を理念に掲げ、早くから緑地保全や拡充に取り組んできたといいます。
現在、市内の緑は全体の25%ほどで、その多くが庭など民有地の緑に依存しています。年々減りつつあるまちの緑を大切にしたいという思いから、暮らしの中で緑を楽しむきっかけづくりができたらと、武蔵野市開発公社、武蔵野市共催で今回の講座が企画されました。
講演は「コロナ禍で自宅にいる時間が増え不安や孤独などを感じる中、植物と関わることで幸福感や癒しを感じるという方が増えたと思う」というお話から始まりました。実際、植物には気持ちを和らげるほか、安らぎ、疲労回復やリラックス効果などがあると言い、「視覚だけでなく触感や聴覚、香りや味覚まで五感すべてとつながっているのも植物の良いところ」と大滝先生。
防音・防風・防火など住環境を快適にする植物の力にも触れ、「日差しを遮るなど温度調節に効果のある植物は、ヒートアイランド現象の抑制にもつながると近年注目が高まっている。植物は光合成をする時に葉からミストを出す(=蒸散)ため、樹木の下に冷気が作られて涼しくなる」と解説。「個人のお宅であれば、敷地の道路側や来訪者が通る通路といったセミパブリック空間に植栽したり花を飾ったりすることで、快適な暮らしが得られるだけでなく『まちの緑』を増やすことにもつながる」と、一人ひとりがみどりを育てる大切さについて話しました。
庭などがない場合には「限られたスペースでも楽しみながら花や緑のある空間を創出できるコンテナガーデンがお薦め」と大滝先生。さらに「まちの中にもコミュニティガーデンのような、地域の人たちが関わってガーデニングできる場所がいろいろとある。より広いスペースを手掛けることができ、世代の違う人や花好きの仲間との出会いも生まれる。花と緑を育てる活動は、美観、景観など周辺の環境をより良くするだけでなく、地域のコミュニティを形成し、安全安心なまちづくりにもつながる」と続けました。
講演の次は、コンテナを使った上手な寄せ植え作りのデモンストレーションです。