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緑の啓発実践講座
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緑の啓発実践講座 開催レポートまちとつながる花とみどりのある暮らし 〜暮らしを彩るコンテナガーデン〜

2020年12月8日(水)に武蔵野商工会館市民会議室及びコピス吉祥寺の「GREENING広場」で開催された講座の様子をお伝えします。講師はジャパンガーデンデザイナーズ協会理事の大滝暢子さん。ガーデンデザイナーとしてNHK「趣味の園芸」など多数のメディアで活躍するほか、「GREENING広場」に設置されたコンテナガーデンの植栽デザイン監修もされています。講座は、講演のほかデモンストレーション、ガーデンウォーク、ワークショップと盛りだくさんな内容で行われました。

講師の大滝暢子さん

武蔵野市役所環境部緑のまち推進課によると同市は1973(昭和48)年、当時全国でも唯一緑をテーマとする「武蔵野市民緑の憲章」を制定し、「緑は市民の共有財産」を理念に掲げ、早くから緑地保全や拡充に取り組んできたといいます。

現在、市内の緑は全体の25%ほどで、その多くが庭など民有地の緑に依存しています。年々減りつつあるまちの緑を大切にしたいという思いから、暮らしの中で緑を楽しむきっかけづくりができたらと、武蔵野市開発公社、武蔵野市共催で今回の講座が企画されました。

今見直されている「植物の力」

講演は「コロナ禍で自宅にいる時間が増え不安や孤独などを感じる中、植物と関わることで幸福感や癒しを感じるという方が増えたと思う」というお話から始まりました。実際、植物には気持ちを和らげるほか、安らぎ、疲労回復やリラックス効果などがあると言い、「視覚だけでなく触感や聴覚、香りや味覚まで五感すべてとつながっているのも植物の良いところ」と大滝先生。

防音・防風・防火など住環境を快適にする植物の力にも触れ、「日差しを遮るなど温度調節に効果のある植物は、ヒートアイランド現象の抑制にもつながると近年注目が高まっている。植物は光合成をする時に葉からミストを出す(=蒸散)ため、樹木の下に冷気が作られて涼しくなる」と解説。「個人のお宅であれば、敷地の道路側や来訪者が通る通路といったセミパブリック空間に植栽したり花を飾ったりすることで、快適な暮らしが得られるだけでなく『まちの緑』を増やすことにもつながる」と、一人ひとりがみどりを育てる大切さについて話しました。

コンテナガーデンの魅力と公共エリアでのガーデニング活動

庭などがない場合には「限られたスペースでも楽しみながら花や緑のある空間を創出できるコンテナガーデンがお薦め」と大滝先生。さらに「まちの中にもコミュニティガーデンのような、地域の人たちが関わってガーデニングできる場所がいろいろとある。より広いスペースを手掛けることができ、世代の違う人や花好きの仲間との出会いも生まれる。花と緑を育てる活動は、美観、景観など周辺の環境をより良くするだけでなく、地域のコミュニティを形成し、安全安心なまちづくりにもつながる」と続けました。

講演の次は、コンテナを使った上手な寄せ植え作りのデモンストレーションです。

大滝先生が手掛けた寄せ植えを紹介しながら、イメージにあった花選びや色の組み合わせ、バスケットや鉢など素材や形にバリエーションのあるコンテナの選び方、置く場所の日当たりなど環境に応じてどう植物を寄せ植えするのか、水分の与え方といったメンテナンス方法まで具体的に解説してくださいました。

『GREENING広場』でのガーデンウォーク

休憩をはさみ、参加者一行はコピス吉祥寺『GREENING広場』へ移動します。今年5月にリニューアルした広場にはコンテナを並べて造った庭が広がります。実際に植え替え作業の実習を行う予定でしたが、あいにくの天候のため大滝先生ガイドの下、ガーデンウォークを楽しみました。
「カジュアル」「ナチュラル」「シックエレガント」「プリティロマンチック」の4つにゾーン分けされた庭をまわりながら大滝先生は「今後一般の方々とここでガーデニング活動ができたらという思いを込め、ゾーンごとにテーマを決めて植栽をデザインした」と話します。
ステージの奥に作られたカジュアルゾーンでは「両サイドにモミの木を配し、黄色をテーマにバラやヒイラギナンテン、カラーリーフ、ニューサイラン、黄色と反対色になるブルーのサルビアなどを合わせて植えている。プレンティフォール(こぼれ咲きパンジー)を入れたハンギングも活用している」と説明がありました。参加者からは植物の手入れについてなどの質問も出ました。

香りのスワッグ作り

ガーデンウォークを終え再び商工会館に戻ってきた参加者のテーブルには、さまざまなハーブが並べられています。ここからは草花を束ねた「香りのスワッグ」作りを行います。
今回の材料は、大滝先生が自宅の庭やGREENING広場のガーデンから朝摘んできてくださったローズゼラニウム、ウェストリンギア(オーストラリアンローズマリー)、マートル(ギンバイカ)、ラベンダー・グロッソ、ローズマリーです。ハーブを好きな長さ・サイズに束ね、麻紐でまとめた後、ラフィアで縛ります。
皆さん、香りとともに家の中で楽しめる緑のクラフトが完成しました。
「茂ってきた植物を適度に切って風通しをよくするために剪定などの管理が必要。その際に出てくるゴミを、暮らしを豊かにする資源にして作ることができるのがスワッグ。こうして植物を生活の中に取り入れることができるのはガーデニングの醍醐味」と大滝先生。最後に、武蔵野市開発公社より「今日見ていただいた『GREENING 広場』のような場所があることを、周りの方にもぜひ話してもらえたら。コピスの来館者や市民の皆さまが吉祥寺の街中で育つ緑の魅力を味わってもらえるように取り組んでいきたい」と挨拶があり講座は終了しました。